ディジタル信号処理とは、乱暴に言うと、 コンピュータで音声や音楽を処理しようというものです。 処理の流れを下図に示します。 実世界の音声や音楽はアナログ信号であり、 時間も振幅も連続値になります。 一方、コンピュータが扱うのは「数値」ですから、 時間も振幅も離散値になります。 そのため、処理する前に時間と振幅を離散化する必要があります。 また、処理した結果を連続値に戻す必要もあります。
アナログ信号は、まず、 低域通過フィルタ (Low-Pass Filter, LPF) で帯域制限されます。 なぜ帯域制限が必要なのかは、 後で説明します。
アナログ信号は、一定の時間間隔Tでサンプリングされます。 これはアナログ信号s(t) (tは実数) からs(nT) (nは整数) を取り出す作業です。
次に、振幅方向を離散化します。 連続値であった振幅を、Qの倍数で近似します。 これを量子化と呼びます。 この時に誤差が発生します。 この段階では、入力信号は単なる数値列になり、 コンピュータで処理できるようになります。
処理結果です。これも数値列です。
振幅を連続値にします。
時間を連続値に戻して、アナログの出力信号を得ます。